将棋の戦法「角交換振り飛車」の攻め筋のうちの一つである「角交換四間飛車」の手筋、定跡について説明をします。
この記事の続きです!
NHKの番組である将棋フォーカスにて、2016年NHK杯王者の村山プロによる講義「村山慈明の知って得する序盤術」で紹介された内容に沿ってますので、初心者の方はもちろん、基礎から復習したい方も必見の内容となっています!
「いやいや、なんで角交換やねん。
角交換せずに、四間飛車でカウンター狙うのが美しいんやないの。」
そんなクールなあなたにはこちら!
また本記事では、角交換振り飛車で攻められた時の、居飛車側の対応も説明してますので、わしゃ居飛車一筋じゃい!って方も勉強になると思います。
東進ハイスクールの数学講師である長岡先生も「まず敵を知ること」という名言を残していますので、どちらの手筋も学びましょう!
では参りましょう!!
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角交換のタイミング
前回までのおさらいですが、この局面で後手(盤面では上側)が角交換四間飛車でいくか、4−3戦法でいくかを決めるわけですね。
角交換四間飛車で攻める時はこの瞬間に角を取りに行くのでしたね。
ではなぜここで交換なのか?
ポイントは、「相手がこちらの角を何でとるか」です。
このタイミングだと、相手は銀でしかとれませんね。では、ここで角交換を見送ってお互い玉を端に寄せてからの角交換を見てみましょう。
これだと、銀だけでなく玉でも角を取れますね。これは相手が玉を囲うための駒組を手助けする形になってしまいます。
適切なタイミングで角を交換すると、相手は銀が中途半端な位置にいて穴熊囲いや美濃囲いに持っていきにくいですよね。相手に制約を与えることができるのです!
角交換四間飛車 駒組みの流れ
交換してからは次のような流れです。(青字が後手)
こちらは2二銀、相手は7八玉、それに対して7二玉と、美濃囲いへの準備をしていきます。
ここで注意してほしいのが、美濃囲いに進めるからといって7二玉ではなく7二銀としてしまうと、相手に角を打ち込まれる隙が出てきてしまうのです。
この角打ちは受けることができないので気を付けましょう!
ここからの流れのセオリーです。
相手は7七に銀をあげ融通が利くようにし、こちらも3三に銀をあげます。二筋を銀で守るイメージです。この3三の位置に角ではなく銀がいるのが角交換四間飛車の特徴です。
ここからはお互い玉を囲っていきます。
相手の8八玉、こちらの8二玉に対し、相手はここから穴熊に持ってくのはかなりの手損になってしまうので、7八金と矢倉に組んでくのがベターです。
角交換のタイミングによる制約が効いてますね!
その後こちらが7二に銀を上げて片美濃囲いとした後、端歩を突き合ってこんな局面になります。
ここまでがよくある流れです。お互い角を持ち合っていてドキドキですね。
ここから、相手の出方によっていろいろな戦い方があります。
飛車先の歩を伸ばすパターン
相手が飛車先の歩を伸ばしてきた時のパターンです。こちらは逆棒銀による二筋逆襲の戦法をとります。少し長くなってしまうので、別記事にて紹介しています。こちらをどうぞ!
https://be-multiple.xyz/syougi-gyakubougin
本記事では、これ以降は飛車先を保留してきた場合を紹介します。
金を上げるパターン(飛車先保留)
相手が飛車先の歩を伸ばさず、金を上げてきた場合です。
逆棒銀を恐れて歩を突いてこないというのはよくあるようです。
これに対しては二筋に飛車を振り直し、向かい飛車としましょう。相手が4六歩と駒組みをしているのに対し、こちらは相手が突いてこないならということで2四歩と突きましょう。
次に相手は4七に銀をあげ金との連携を取ってきたら、こちらは銀を4四へと繰り出します。
そして相手の3六歩に対し、こちらは3三へ桂馬を跳ねます。
どうですか?銀と桂馬が生き生きしていませんか!?
これが角交換振り飛車の特徴です。いつも年配の角が威張っていたところを交換して手持ちにすることで、フレッシュな銀と桂馬を存分に使えるのです。
「クリーンナップはフレッシュな若手に任せ、ベテランスラッガーは代打の切り札として使った方が良い。」みたいな感じです。野球全然知りませんが。
ここから、少し相手の目線にも立って話を進めていきます。居飛車側(相手)は3三に跳ねてきたフレッシュな桂馬を無視してはいけません。無視をして玉の囲いの駒組みを進めたとしましょう。
居飛車側が6六歩とすると振り飛車側も美濃囲いを進めて5二金左。それに対して6七金として矢倉を完成させたとします。
こうなると、振り飛車側は2五歩と歩をぶつけます。同歩、同飛車で取り合い、さらに同飛車、そして同桂馬と飛車交換をします。
この飛車交換が、居飛車側にとってはしんどいのです。なぜでしょうか?
この局面、振り飛車側の美濃囲いで低くくて横からの攻めに厚いのに対し、居飛車側の矢倉はスカスカです。また飛車を打ち合って香車や桂馬の取り合いになるのですが、桂馬が跳ねているので居飛車側は香車しかとれません。
この分で、振り飛車側の方が優勢になります。
したがって局面を振り飛車側が桂馬を跳ねてきたところまで戻しますと、居飛車側は、この桂馬の跳ねを無視をせず、桂馬を跳ね返す必要があります。
これ対して振り飛車側は攻め手がないので、駒組みに移ります。5二金左と美濃囲いを固めたら、居飛車側は2九に飛車を引きます。この飛車引きが角打ちの隙をなくす良い手なのです。
この局面ですが、飛車を引かずに6八金と守りを固めたくなりますよね。でもそそうしてしまうと大ピンチ。5九に角を打たれてしまします。
この角打ちが意外とキツイです。この桂取りを受けるには3八に飛車を寄せるしかないですが、そうすると2五歩と突かれて二筋を突破されていまします。
これはしんどいですね。なのであのシーンでは飛車を引くことが大切です。
ここからですが、飛車引きに対して振り飛車側はまたもや攻め手がないので、駒組みに移ります。6四歩としてから、居飛車側は7五と歩を突きます。
居飛車側は手得をしているので、駒をどんどん前へと進めましょう。穴熊に囲っていくのではなく、玉頭位取りを狙っていくと良いです。
以下、セオリーが長く続きますのでなんとなく眺めてみてください。
青字がこちら側(角交換四間飛車側)です。
7五歩→6三金→7六銀→5四歩→8六歩→5五歩→8五歩→5三銀→7七桂→5四銀→6六歩
最終的にはこんな感じです。めっちゃ綺麗ですね。
角交換四間飛車の攻め筋を紹介してきましたが、居飛車側も譲らず丁寧に指し合うと両者互角の状態でこの中盤までくるのです。
ここからの攻め方の一例として、振り飛車側は4四と歩を突いてから飛車を4二に回して4筋を攻める方法があります。
一方居飛車側は、6飛車を6一に持ってきて6筋を攻める方法や、4八金と寄ってから飛車を5一に持ってきて、5四と歩を突いて5筋を攻めていく方法があります。
角交換四間飛車 まとめ
角交換型振り飛車での戦法の一つである「角交換四間飛車」の攻め筋を紹介してきました。本記事では持久戦にもつれ込む展開を説明してきましたが、序盤から攻めの狙い所は多かったと思います。
途中で紹介した逆棒銀や4−3戦法など、角交換型振り飛車には面白い攻め筋がたくさんありますので、是非他の記事も読んでマスターして下さい!
また角交換せずに居飛車穴熊を倒す戦法藤井システムの手筋を知っておくと、戦いのバリエーションが増えますよ!
それでは
カルボン酸太郎でした!