居飛車vs四間飛車、いわゆる対抗型の解説です。
居飛車が穴熊囲いを組んで戦う持久戦の手筋・定跡を紹介します。
最も堅い守りとされている穴熊囲いを組んで着実に攻める居飛車と、一つのミスも許されない振り飛車(四間飛車)の熱戦です。
居飛車側、振り飛車側、両方の立場で解説するので、どちらの方にも等しく勉強になるはずです!
では参りましょう!!
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居飛車が持久戦で戦う準備
居飛車vs四間飛車が順調に進んでいくと、以下のような盤面になります。
先手(盤面下)が居飛車
後手(盤面上)が四間飛車です。
後手が3三角としたところです。
ちなみに本記事は以下の記事の続きです。
四間飛車vs居飛車 対抗型の手筋・定跡をマスターしよう!
ここまでの流れをまとめてますので、一から勉強したい方はまずこちらの記事からどうぞ!
で、居飛車側がここでどんな手を指すかで、急戦か持久戦か決まってくるのでした。
先手は7七角と指すと、持久戦で進むことになります。
ここで先手が5八金と指すと、急戦になるのでした。
急戦で戦う場合に有効な手筋は別の記事にまとめています。気になる方はこちらもどうぞ!
戦法「45歩早仕掛け」で急襲だ!居飛車急戦のガイド①
戦法「斜め棒銀」で華麗に攻めろ!居飛車急戦のガイド②
ではここから、持久戦の定跡を解説していきます!
居飛車穴熊 持久戦の序盤
先手の7七角から先は、お互い駒組みに入ります。
5二金左 → 5七銀 → 6四歩 → 8八玉 → 7四歩 → 9八香
ここから先手は9九に玉を運び、穴熊囲いを組んでいきたいですね。
さて後手です。
この9八香で、先手が穴熊であることを確信しますよね。
そこで、穴熊対策の大切な一手が7三桂です。
振り飛車党の方は必ず覚えておくべき、対穴熊での一手です。
桂馬を早めに跳ねておくことで、先手を牽制します。具体的には先手の6六銀を防ぐことができます。
少し詳しく解説します。
居飛車穴熊 最強の形
居飛車穴熊とは、6六に銀を上げてから穴熊を組んでいくと、非常に有利な試合展開にできる戦法です。この手筋が決まれば、ある種の作戦勝ちが見込めるような、強力な戦法なのです。
いかに強力かを説明します。
もう一度、桂馬を跳ねる前に戻ります。
ここで、桂馬を跳ねずに8二玉と駒組みを進めたらどうなるか。
お互いに駒組みを進める展開になります。
9九玉 → 6三金 → 8八銀
3二銀 → 6六銀 → 4三銀 → 6八角
このような流れで居飛車に穴熊を組まれてしまうと、振り飛車はもはや作戦負けです。
というのも6六銀と6八角の形。このセットは非常に相性が良いのです。
6八の角は2四歩からの2筋攻撃が見えますし、6六の銀は攻めにも守りにも使えます。
穴熊囲いは最も堅い守りですので、このままいくと居飛車が有利な展開になるのです。
最高の穴熊を、桂馬で防ぐ
後手が桂馬が跳ねたのに、6六銀と指したらどうなるか。
後手は4五歩と、角道を開けます。
6八角 → 6五歩 → 7七銀 → 8五桂
と進みます。
先手は嫌な盤面になってしまいましたね。銀が確実に取られてしまいます。
後手が早めに桂馬を跳ねることの有効性がわかっていただけたでしょうか?
居飛車穴熊 持久戦の中盤
話を本筋に戻します。
後手が7三桂と早めに対策してきたら、先手は6六銀は諦めて、6六歩です。
居飛車に自由に穴熊を組ませることは許しません。
ここからは淡々と駒組みが続きます。
3二銀 → 9九玉 → 7二玉 → 8八銀 → 6三金
お互い穴熊囲い、高美濃囲いを目指します。
5八金右 → 4五歩 → 6七金 → 4三銀 → 3六歩
ここで、振り飛車は分岐点です。
4四銀か、5四銀か。2パターンです。
どちらも有力な手筋ですが、本記事では4四銀のパターンで進めていきます。(5四銀の方が、攻撃的な一手になります。)
この4四銀を受けて、先手は角を転換するのがオススメの一手です。
まずは5九角です。後手は5四歩とします。そこからさらに2六角です。
二手で大移動しました。この2六がいい地点なんですね〜
振り飛車だって攻めたいっつーの!
さて、後手はここからどうするか。
「囲いも完成させたし攻めるか!」パターンから見ましょう。
4筋を銀、飛車で攻めることを見越して、5五歩です。同歩には同銀です。
先手は5六歩打ちでは、4六歩がまずいですよね。棒銀的に4筋を突破されてしまいますので。
この瞬間、先手は受ける必要がありません。反撃の一手は7五歩です。
高美濃の弱点である、桂頭を攻めます。
同歩 → 7四歩打ち → 同金 → 5三角成り
馬を作れた上に、飛車取りです。居飛車優勢ですね!
振り飛車は受けてナンボの商売
残念ながら2六に角がいる状態での5五からの攻めは無理筋でした。
ではこの局面に戻りしょう。
5五歩はダメでした。
「攻めがダメなら陣形整備だ!」パターンはどうでしょうか。
9四歩と、王の逃げ道を確保です。
先手も7九金とし、穴熊を完成させます。
後手は9五歩とさらに端歩を突きます。先手は1六歩です。
後手は、この後1五角とされたら嫌なので、1四歩と受けます。
ここで先手が仕掛けます。4八飛です。
後手は何も考えずに8四歩とするとまずいです。一気に攻められます。先手は4六歩です。(しかし後手のミスが許されない展開はしんどいですね…)
同歩ととると、同銀です。
4五歩打ちで受けますが、先手は引かずに同銀です。
同銀で銀をタダでGETなのですが、居飛車はここから攻勢です。4三歩打ちです。
これに1二飛と逃げては押さえ込まれるので同飛ですが、先手の4四歩打ち、いわゆる叩きの歩が厳しいです。
同角ときたら、4五飛と走って銀を取り返します。
後手が2六角と角をとってきたら、4三飛車成りです。
龍を作った上に、鉄壁の穴熊なので、居飛車が大成功の局面です。
振り飛車に求められるのは、バランス感覚
そろそろ彼女に「攻めてもダメ、守り過ぎてもだめ、じゃあどうしたらいいのよ!私だって一生懸命やってるのに!!」なんて癇癪を起こされてもおかしくないです。
そしたらあなたはこう言ってあげましょう。
さて、この局面に戻ります。
後手は8四歩ではダメでした。4筋に回ってきた飛車をスルーしてはいけません。
後手は2四歩です。同歩に対して、2二飛が良い手です。飛車がずれたことによって手薄になった2筋を攻めましょう。
先手は3七桂と自然に桂馬を活用させます。
ここで2四飛と走っても、2五歩打ちで追い払われてしまうので、3五歩と突くのが振り飛車の手筋です。
同歩は角道がふさがれてまずいです。4六歩がいいでしょう。
それに対して後手は3六歩、先手は2五桂です。
後手は角が逃げると銀を取られてしまうので、2四飛が良い反撃です。
先手は3三桂成り、後手は2六飛です。
さあ、どちらが優勢なのでしょうか!?
先手はここで、1七角打ちと角を打てるのが強みです。
そこから
2九飛車成り → 4四角 → 3七歩成り → 7八飛
この7八飛は、穴熊囲い特有の一手です。舟囲いではできませんね。この飛車回りの味が抜群です。7筋の攻めにも使えるし、7九の金も守れます。
ここまでで、終了とします。
後手はと金もあります。難しいのですが、やはり穴熊囲いを完成させている先手が優勢かといったところです。
居飛車穴熊・持久戦のまとめ
長かったですね。お疲れ様でした。
居飛車穴熊がいかに強力か、感じて頂けたと思います。
「一手でも間違えたらアウトで、間違えなくても勝てないなんて、四間飛車なんかやってられねえよ!」
そう思ったあなたには是非、この記事を読んで頂きたいです。
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真っ向勝負もいいですが、藤井システムもマスターすることで、勝率はグッと上がるはずですよ!
それでは
カルボン酸太郎でした。
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