絶対に詰まない形にも、様々な条件があります。
その時々の状況次第で詰むかどうかが変わってくるということです。
その条件とは具体的には、持ち駒です。
将棋の奥深さを実感できますよ〜〜
この記事の続きです!
脱・将棋初心者!「絶対に詰まない形」を覚えて中級者へ(前編)
さて、絶対に詰まない形を意識して、終盤の攻防を制するために大切な概念を、改めて漫画BLEACHから引用します。
剣を握らなければ おまえを守れない
剣を握ったままでは おまえを抱き締められない(BLEACH単行本第5巻)
自玉が絶対に詰まない形を作ってから、相手玉を詰ませる
今一度この意識を持って、後編も読み進めて下さい!
相手の持ち駒を、ガン見する
持ち駒次第で詰まないとはどういうことか?
ケーススタディで勉強していきましょう。
トリッキーなあいつはいるか?
まずはこのケースです。
穴熊囲いが崩されかけています。
ここで手番が後手にあります。
実はこの形、後手の持ち駒次第では、絶対に詰みません。
ある駒がなかったら、他の駒が何枚あっても大丈夫です。
何だかわかりますか?
桂馬ですね。
この7七桂打ちの王手から、あと何枚か駒があれば詰まされてしまいます。
ex) 同銀 → 8八金 → 同玉 → 3九銀 → ・・・
(青字が後手番)
というように、この局面は桂馬がなければ絶対に詰まない形でした。
桂馬のようなトリッキーな動きをする奴は、終盤の寄せで大活躍するので、注意が必要ですね。
では他のケースも見てみましょう。
パワフルなあいつはいるか?
次はこのケースです。
穴熊ではなく、美濃囲いから少し逃げたような形ですね。
この局面は、相手がどんな駒を持っていなければ、絶対に詰まない形でしょうか?
はい。金と飛車ですね。
つまり横に動ける駒がいたらアウトです。
まず「どんな駒がいたら詰むか」を考える。その裏を返せば「その駒がなければ詰まない」と変換できる。
これが絶対に詰まない形の考え方としてはしっくり来るかもしれませんね。
では、このケースはどうでしょうか。
これは反対に、角や銀がいなければ絶対に詰まない形ですね。ななめに動ける駒がいたらアウトです。
このように、一つの局面でも、相手の持ち駒次第で詰むかどうかが変わってきます。
前編で紹介したような、どんな条件でも絶対に詰まない形というのは、実践ではなかなかありません。
しかし横かななめどちらかには強い、条件付きでの詰まない形はよく出てきます。
したがって、終盤での駒の取り合いが発生するシーンでは、条件を意識する必要があります。きっと絶対に渡してはいけない駒があるはずです。
それでは、基礎を抑えたところで、実践例を見て理解度を深めましょう!
プロの実戦例で学ぼう!
プロの対局を取り上げます。
居所的に見たら簡単に見えても、全体図で見ると難しく感じますよ〜
では、先手玉はどのような条件付きの形でしょうか?
角や銀のななめ系がいたらやばそうですね。相手は銀を持っています。
でも、実はななめ系は大丈夫です。
2八銀打 → 同香 → 同龍 →同銀 (青字が後手番)
で、この局面です。
こうなると、王手がかからないので、完全な絶対に詰まない形ですね。
では、大丈夫なのか…と思いきや、ダメです。もう一度見てみましょう。
実は、2四桂打ち で一発アウトです。笑
つまりこの局面は桂馬がいなければ絶対に詰まない形でした。
やっぱりトリッキーな桂馬は怖いですね。
ということで、桂馬を絶対に渡さないことを念頭に置いて、後手玉を攻める必要があります。
桂馬は絶対に渡さねえ!
BLEACHを知っている人は、以降桂馬を朽木ルキアだと思って読んでください。
知らない方は、まあ適当なヒロインで構いません。ピーチ姫とかでいいです。
さて、ここからどう攻めるか
あなたなら、どんな一手から攻めはじめますか?
この記事を読む前なら、3三桂成り としてしまっていたかもしれません。
しかし、桂馬は決して渡してはいけない駒ですので、失敗の一手です。
ちなみに、3三桂成り からでも、それで詰ますことができればノー問題です。
ですが、この局面はそれでは詰まないので、桂馬を守りながら攻める道筋を考えましょう。
実際のプロの一手は、3二角打ちからでした。
この角はタダですが、王を引っ張り出す目的があります。
以下の流れです。(青字が後手番)
同玉 → 4一金打
金もタダであげます。
同玉 → 同と → 同玉
角と金をタダであげて、王を引きづり出しました。
桂馬をあげなければ、なんだっていいんです!
次に、4三銀打ち と攻めます。さらにタダです。
後手はこれに 同金 とするのが自然に見えますが、それはまずいです。
同金 だと、先手は 3三桂成らず です。
後手は「あ!桂馬だ!やった〜」なんて思ってはいけません。
先手が桂馬を渡すとき、それすなわち詰みが見えているときです。
同桂馬 → 5三桂打ち → 同金 → 4二銀打ち
3二玉 → 5三銀成り
これで次玉がどこに逃げても、金を打てば詰みです。
したがって、この局面では…
実際は 同金 ではなく 5二銀打ち と受けました。
しかし、先手の攻めは続きます。同銀成り です。
同金 → 5三銀打ち
この一手が、厳しい素晴らしい手です。
なんせ王手をかけていないわけですからね。これだけ駒を渡しても、桂馬さえ渡してなければ絶対に詰まない形は保たれるので、王手をかけなくても攻めは続くのです。
後手は 同金 ととると前述した通り 3三桂成らず からやられてしまうので 6一銀打ち しかないのですが、4四桂打ち と攻め続けます。
後手はこれに 同銀 とすると桂馬が手に入りますが、5二龍 から詰みます。
なので実戦では 6二角打ち と受けました。それに対しては 5二銀成り です。
以下、実戦では 同銀 → 6二龍 → 4三銀 → 3二金打ち
までで、後手が投了しました。
以上、プロの凄まじい寄せでした。
条件付きの絶対に詰まない形でも、肝心の駒さえ守ればガンガン攻められることがよくわかりますね!
最後に
絶対に詰まない形を意識する重要性はわかっていただけましたか?
一手を争う展開になった時は、自分の王様が絶対に詰まない形を作ってから攻めることが大切です。
これを意識するだけで、あと一歩のところで負けてしまった…という悔しい思いが減るでしょう!
そして、本記事の内容に加えて、終盤の実力をさらにUPできる秘密の知識があります。
それは速度計算と呼ばれる考え方です。
絶対に詰まない形を覚えると同時に速度計算を実践できるようになると、終盤戦の攻防のレベルが段違いに上がり、将棋の腕前がワンステージ上がること間違い無いです!
それでは
カルボン酸太郎でした。
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