将棋の速度計算を覚えて、ワンランク上の私へ(基礎編)

将棋速度計算についてわかりやすく説明します。

そもそも速度計算って何!?って方、必見です。
NHKの将棋番組の「将棋フォーカス」でやっていた「船江恒平の終盤は筋よく指そう」の内容に沿って基礎から丁寧にまとめました!

また、本記事の内容は「絶対に詰まない形」を知っておくと、さらに理解が深まります。気になる方は、先にこちらをどうぞ!

脱・将棋初心者!「絶対に詰まない形」を覚えて中級者へ(前編)

速度計算…そ、そんなの知ってるわ!じょ、常識だろ…!って方、強がらなくていいのですよ。
Safariならシークレットモードで閲覧すれば、履歴にも残りません。安心して復習して下さい。

この記事で速度計算を覚えて、今までの私にはない最高級の肌ツヤとハリを手に入れましょう!!

速度計算とは

速度計算とは「相手の玉をあと何手で詰ませられるか」を考えることで、対局の終盤で必要な技術です。

相手の玉だけでなく「自分の玉もあと何手で詰むのか」も同時に考えなければなりません。

これらを計算して『攻めるか、受けるか』の判断をする必要があります。
つまり(お互いの詰みまでの)速度計算して(次の一手を決める)ってわけです。

では、どうやって計算するのか?

詰みまでにかかる手数を数えて、それを比較します。

まずは簡単な例から速度計算を身につけましょう!

速度計算のやり方

部分的ですが、以下の局面で考えます。下が先手番です。

まずは先手からです。「後手玉はあと何手で詰むのか」を考えます。
難しく考える必要はありません。4二と → 3二と → 2二角打ち で詰みですね。
てことで、三手で詰ませられます。この三手が先手の速度ということです。

では後手はどうでしょう。
4八と → 3九銀打ち で、王手ですね。
ここで、王手をされたら先手は必ず対処しないといけませんよね。1八玉と逃げます。


この時、この二手目の銀打ちは一手としてカウントしません。王手は相手も必ず打つので、プラマイゼロということです。
したがってこの時点で後手はまだ一手です。ここから、3八と → 2八銀成 で詰みです。
なので結局、4八と → (3九銀打ち) →3八と → 2八銀成で、後手も三手でした。

さて、お互い三手でした。この場合どちらが速いでしょうか?

 

そうです、先手です。

速度が同じ場合は、手番を持っている方が速く詰ませることができます。

ということで最初の局面の場合、先手は速度計算の結果受けずにガンガン攻めた方が良いという判断ができます。
実際、殴り合ったらどうなるか見てみましょう。(青字が後手)

4二と → 4八と → 3二と →3九銀打ち →1八玉 → 3八と2二角打ち(詰み)
やはり先手が勝ちましたね。

一方の後手は速度計算したらところ、殴り合うと負けてしまうことがわかりました。
よって相手の攻めに対して殴り返さず、受けに回る必要があります。

4二と に対しては2二銀打ちと、合駒をして受けるしかありません。
しかし、その後先手に4三角打ちをされると万事休すです。

これは必至(相手の玉を詰まさないと自らの玉が詰む状況)ですね。
後手には打つ手がありませんので、この局面どっちみち先手の勝ちでした。

このように速度計算をすることで「今自分が指すべき一手は何か」を深く考えることができるのです。

持ち駒の変動に気をつけろ!

最初なので簡単な例から紹介しました。次は少し難しい局面で考えましょう。

いきますよ〜〜

はいこちらです。先ほどと形は似てますが、駒が増えましたね〜
正直見ただけでオェってなりますよね。

高校の頃に文系の友達が、数式を見ただけでやる気なくなるって言ってた気持ちが初めてわかりました。

確かにΣとか∮とか、わからなかったらしんどいかもなぁ…
けどゆっくり考えれば、見た目ほど複雑じゃないんだよ…

…この言葉を、そっくりそのまま自分に言い聞かせます。
張り切って速度計算していきましょう!

まず先手目線です。後手玉を何手で詰ますことができるか。
3二銀不成 →3一銀不成 → 2二金打ち で詰みです。今回も三手ですね。

ただ、この詰みまでのパターンは一通りだけ考えれば良いわけではありません。
将棋には相手がいるので、それを考慮して詰みまでの手順を考える必要があります。

もう一度最初の局面に戻ります。

ここで3二銀不成に対しては、後手は同銀ととってくるのが自然ですよね。
これは先程の王手と同じパターンで0手とします。そうすると以下の局面からスタートと考えていいですよね。

ここから、4二と → 3二と → 2二金打ち で詰みです。同じく三手でした。
後手がどういう応対をしても、この局面先手は三手で詰みまで持っていけます。

なんだよ結局三手で同じじゃねえかよ!と思いますよね。(私は思いました…)
でも、二つのパターンで何かが違いますよね…?これが後に効いてくるので、楽しみにしていてください!(ヒント:見出し)

次に後手目線です。先手玉は何手で詰むか。
もう一度最初の局面に戻ります。

4九と → 4八と → 3九龍 で詰みですね。(1八玉には2八金打ち)

後手も三手でした。ということは…
先程と同じく、三手同士でなので手番を持ってる先手の勝ちですね!!

 

 

 

…と、言いたいところですが、そうは問屋がおろさないんですね〜
実際にきちんと交互に打ってみて、どうなるか確認してみましょう。

3二銀不成 → 同銀 → 4二と → 4九と →3二と

ここまでは特に変化なしですね。
後手がここで 4八と と打てば、先手は2二金打ちで詰み、確かに先手が勝ちます。

ですが、よく見てください…先ほどと後手の持ち駒が違っていませんか?
後手はここで 4八と ではなく、3九銀打ちがあります。

これ、もう詰んでますよね。(1八玉には2八金打ち)
なんと、後手が一手速くなってしましました。こんなことがあるんですね〜

というように、速度計算はその局面だけでするのではなく、持ち駒が変動することも考慮する必要があるんですねえ…難しいです。

てなわけで再び最初の局面に戻ります。

この局面で、先手は速度計算をした結果「自分が攻めたら負ける!」ってことに気づくわけです。
なので最善手は受けの一手です。
5八金と、と金をとります。同龍に対しては4九金打ちとして、しっかり受けます。
6九に龍追い払ってから、3二銀不成 → 同銀 → 4二と と攻めていきましょう。

いい感じですね。しかし速度計算をしていなかったら今頃負けてました…速度計算大切だあ!!

速度計算のテクニック

では最後です。

先手の陣形はさっきと似てますが、持ち駒に角があります。
また後手の陣形がだいぶ変わりましたね。この局面で速度計算を基に最善手を考えましょう。

例によって、先手から。後手玉を何手で詰ませられるか。

4四歩 → 4三歩成り → 3三金打ち

これでもう一枚金がありますので、詰みます。またもや三手でした。

 

では後手です。先手玉は何手で詰むか。

4九と → 3九銀打ち

これで詰みますね、二手です。
おっ、初めて手数に違いが出ましたね。先手の三手に対して後手は二手と、シンプルに後手の方が速いです。
じゃあ先手は受けにまわらないとな…と思うところですが、いいんです。攻めていいんです!見ていてください。

4四歩 として金をとります。後手は 4九と ですよね。このままではまずいです。
ですがこの瞬間、速度計算を逆転させる攻手があるんです。

4一角打ちです。

これに対して、後手は3三玉と逃げても、1二や1三の方に逃げても、先手には二枚金がいるので詰んでしまいます。
したがって合駒をするしかありません。では金と銀どちらで合駒するべきか。

金で合駒した場合

この場合、金を合駒で使ってしまったため、後手は3九に銀を打っても詰みまで持っていくことができなくなりました。
これが角打ちの威力ですね。持ち駒を無理やり減らしたのです。

これにより先手は 4三歩成り と攻め、詰めろをかけられるようになります。速度計算が逆転した瞬間です。
なので後手は金ではなく、銀で合駒をする必要があります。

銀で合駒した場合

銀の合駒は角取りになってます。だからといって角を逃したらダメです。
4八とが詰めろになっていて、先手は一手負けてしまいます。

角を逃したら負けちゃうよ

銀で合駒されても、先手には良い手があります。同じく 4三歩成り です。
銀は角をとるしかありません。3三金打ち で詰みの形になります。

なんと、速度計算して手数で負けていても、4一角打ちによって逆転することができました。

この4一角打ちのような一手は合駒請求と言われ、プロでもよく使われるそうです。
相手に無理矢理合駒をさせて持ち駒を減らすことで、速度計算を逆転させるテクニックなのです。

最後に

速度計算、難しいけど、面白いですよね。
自分と相手の玉までの手数だけでなく、持ち駒、手番など様々な要素が絡み合っています。
たった一手の差で勝敗が決まる接戦を制するには、正確な速度計算が必要なんですね。

これを実践できるようになると、終盤戦の攻防のレベルが段違いに上がり、将棋をより深く楽しむことができそうです!

ということで、この記事があなたをワンランク上へと導くことができたら幸いです。
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また速度計算に必要な知識「絶対に詰まない形」を勉強したい方はこちらも是非!

脱・将棋初心者!「絶対に詰まない形」を覚えて中級者へ(前編)

それでは
カルボン酸太郎でした!

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