まだ自分が実家に住んでいた頃、この局面はしばしば訪れた。
小学生からずっと同じ家だったので、近隣の方とは顔見知りになっている。
子供の頃であれば、元気に「ただいま!」と返していた。しかし、自意識が芽生えてからは、どうも「ただいま」はバツが悪い。
小っ恥ずかしさがどうしても生じてしまう。
この気持ち、あなたにも分かって頂けるだろうか?
だからといって、無視をするわけにもいかない。
こっちだって何も「おかえり」と言われるのが嫌なわけでわない。コミュニケーションをとりたい気持ちは十分にある。
さて、それではどうしたら良いか?
「ただいま」に代わる、対おばちゃん用の返事を考えたいと思う。
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「ただいま」は略語として失敗作
そもそも何故「ただいま」は恥ずかしいのか?
よく考えると、近所のおばちゃんに限った話ではない気もする。
フラットな状態でも「ただいま」の方が「おかえり」より恥ずかしい。
その原因の一つに、元の言葉からの略し方の違いがあるだろう。
おかえり → お帰りなさいませ
ただいま → ただ今帰りました
並べてみると、おかえりは本来の意味からほとんど離れていないことがわかる。
一方で、ただいまはひどい。
そこ略したら駄目だろ!って方が除かれている。
「ただいま」とは「只今」である。
「ただいま大変混雑しております」のようにも使われる言葉だ。
そりゃあ恥ずかしいわけだ。
ファミリーレストランをファミリーと略してるようなものだ。
「いってらっしゃい」に対して「いってきます」がそれほど恥ずかしくないのは、この理屈で説明できるだろう。
家族や恋人などの気を許した相手には、形骸化した「ただいま」という単語に何の感情も抱かない。
しかし近所のおばちゃんの場合、遭遇によって少しの緊張が生じ、脳が「ただいま」に潜む違和感を見逃せなくなる。
(ただいま…ってどういう意味だ?どんなトーンで発すればいい言葉だ…?)
こうなってしまったが最後、緊張は恥じらいへと姿を変えてしまう。
で、近所の人におかえりと言われたら…
前置きが長くなったが、これで背景は理解できた。
ここからは具体的に、ただいまに代わる具体的なコミュニケーションを挙げていく。
無言で会釈
これは最も無難な選択に見える。
だがこのコミュニケーションに冷たさを覚えるおばちゃんはいるだろう。
全くの無視に比べて、会釈している分マシに思えるが、無言であるが故に(これ以上、自分に干渉してくるな。テリトリーに侵犯するな。)という強くて冷たい意思表示にも捉えられかねない。
「おかえり」と声をかけている以上、やはり何らかの言葉で応えて欲しいのが、人間だろう。
ただいま帰りました
原点回帰である。
これは丁寧な言葉遣いに感じられることに加え「ただいま」という略し方が悪いのだから、元に戻せば良いはずだ。という素直な代案に思える。
しかし、フルで言えば問題解決だ。という発想は少し甘いのではないだろうか。
というのも、これ、実際に言う自信があるのだろうか?机上の空論になってはいないか?
確かに理論上では隙はない。
けれど「ただいま帰りました」と言えるメンタルがあるならば、恥じらいなど我慢して「ただいま」と言うのは容易いように感じる。
あっ…ただっ…しゃぁ〜
ただいま風に濁す。
割と一番使われている方法かもしれない。
何と言っているかわからないが、そんなことはどうでもいい。
「おかえり」に対する返事の相場は「ただいま」に決まっているのだから、ただいま風の何かを発すれば、おそらく伝わる。
迷いと恥じらいが混ざって生まれた、声にならない叫びのような思いは、おばちゃんにもきっと伝わるはずだ。
優しく受け入れてくれるだろう。
ただ、少しコミュニケーションに難がある人のようになってしまうのが気がかりか。
…と、ここまで3つ挙げてみた。
いずれも悪くはないが、いまいち決め手にかける。
しかし、私がは熟考を重ねた結果、一つの答えに辿り着いた。
おそらく世界にたった一つしか存在しない「ただいま」の代案の正解は…
これだ。
こんばんは(こんにちは)
反則すれすれの技である。
だが死角はない。無敵である。
「おかえり」に対し「ただいま」ではなく「こんばんは」と答える。
「こんばんは」には、ともすると先に声をかけてきたおばちゃんにもう一度「こんばんは」と言わせてしまう力すらある。
「質問に質問で返す」というのは社会人としてタブーであるが、今回のケースではそんなことお構い無しだ。
「こんばんは」というワードは「おかえり・ただいま」に匹敵する、挨拶用語として浸透している。
むしろ、より広く、より浅い関係でも使われているハンディな言葉である。
そのため、特別な意味を持たない「挨拶」というフィールドでは「こんばんは」が不適切になることは有り得ない。
だから「ただいま」と返すのが恥ずかしい時には「こんばんは」と返せば丸く収まるのである。
これが…答えだ…
ただいまの代替案が決定
「ただいま」の代替案として考えうる最高の答えを導いた。
近所のおばちゃんに「おかえり」と言われた時いつも困っていた方の助けになれば幸いである。
もし何も考えずに「ただいま!」と返事ができる成人の方がいれば、そのメンタルはどこで手に入れたのか、私にご教示して頂きたい。
すぐにこの記事は消すことにするので。
それでは
カルボン酸太郎でした。
あなたはきっとこの記事も好きです。
多分です。違ったらごめんなさい。